近づくほど遠ざかる
以前、BUNKAMURAザ・ミュージアム*1でポーラ美術館の印象派コレクション展を見て感動したので、美術館「えき」KYOTO*2でもう一度見てみることにした。*3
不思議なことに、東京では当日券が1300円だったのに京都では900円で、400円の差がある。地価の違いか、東急とJRの差か……などと思いつつ中に入ってみると、すぐに理由がわかった。
狭いのだ。
もともと狭いスペースに仕切りを立てて、各面にみっしりと絵が掛けられている。ところによっては、絵の幅よりも、隣の絵との間隔のほうが狭いくらいだ。また、仕切りと仕切りで構成された直角の隅近くにまで絵が飾られているので、隅のほうの絵を見ようとすると、直交する面の絵を見ている人の邪魔になる。そればかりか、向かい合わせの面どおしの間隔も狭いので、反対側の面の絵を見ている人の背中とぶつかりそうになる。それで、自ずと絵に近寄って見ることになる。
どんな絵画でも鑑賞に適した距離があるもので、間近に見ればいいというものではないのだが、特に印象派の場合はある程度離れて見なければほとんど意味不明な色の羅列になってしまう。残念ながら色彩理論を知らないので理由は説明できない。きっとぎをらむ氏なら理路整然と解説してくれることだろう。ともあれ、至近距離で見たクロード・モネはマーク・ロスコーと区別がつかないという発見ができたのは、非常に有意義だった。