ある「叙述トリック」

最初この記事を読んだとき、気にはなっていたものの映像作品の紹介なのでスルーすることにした。なぜ映像だとスルーするのかといえば、未だにダイアルアップ回線なので映像にアクセスできないからだ。
ところが、もうひとつの夏へ


ミステリに詳しい人の意見とか聞きたいなぁ。
…と思ったがなにやらラノベ神への祈りに忙しそうなのでやめました。宗教は尊重すべきです。
というコメントがあり、ちょうどラノベ神への祈りを終えたところだったので、ネットカフェで見てみることにした。
……3回見た。全然わからん。どこにトリックがあるの?
……ネタ元のスレでカンニング。ようやく意味がわかった。
なるほど、これはよく出来ている。
まあ、某有名映画に同じアイディアのものがあるし、マンガでも2例ほどあったので、別に独創的な作品ということはないのだが、伏線の張り方はうまいし、オチも気が利いている。アイディア勝負の作品であってもアイディアがすべてではない、いや、アイディア勝負の作品こそ演出が重要だということをよく示している作品だと思う。
なお、ミステリ読みが叙述トリックを評価するときには、トリックの意外性の他にフェアプレイの観点を重視するのだが、このフェアプレイというのが厄介な代物だ。たとえば「地の文で虚偽の記述を行わないこと」という言い方をすることがあるが、そもそも映像には真理値がないので、この尺度は当てはまらない。かわりに「事実に反する光景を映さないこと」と特徴づけたら、件の映像はアンフェアということにもなりかねない。というわけで、あまりミステリ的な見方をしないほうがいいように思う。