小説を読まずに書きたがる「カラオケ現象」

- 作者: 清水良典
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 新書
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タイトルを見たときには、最近よく出ているワナビー向けのハウツー本だと思ったのだが、書店でぱらぱらとページを繰っているときにこの一節に出会い、購入を決めた。
カラオケルームに行くと、誰かが歌っているときに他のみんなはおしゃべりしていたり自分の歌いたい歌を選ぶのに没頭していたりで、歌声に耳を澄ましている人はほとんどいない。これは「カラオケ現象」と呼ばれているが、小説の場合もそれと同じで、書きたい人はみんな書くことばかりに夢中になっていて、他人の小説を読む余裕がない。自分の書いた小説を読んでもらいたい、意見を聞かせてもらいたいと願っているくせに、当の自分が他人の小説を真剣に読んだり意見を言ったりすることはあまりしないのだ。
この薄い新書一冊を読みさえすれば、自分も2週間で小説が書けるようになっているはずだ。そんな期待をもって読み始めた人は、早々に*1デリケートな自我に小さな棘が刺さった気分になるかもしれない。あるいは棘に気づかないほど自我が肥大しているかも。いずれにせよ、想像するだけで微笑ましく心温まる。
まだ第1章を読んだだけだが、全部読み通す頃には小説執筆力が身に付いているような気がする。ああ、2週間後が待ち遠しい。
*1:引用もとは17ページ。