たま駅長は「町おこし」のツールか?

  1. たま駅長の効果11億円 経済波及を試算
  2. みんなのニュース:11億円招いたニャーン 「たま駅長」経済効果を試算 - 毎日jp(毎日新聞)
  3. メタボが襲う11億円“ドル箱”たま駅長 (社会) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
  4. 三毛猫「たま駅長」の経済波及効果は約11億円 大学院会計研究科 宮本勝浩教授らが推定【PDF】

1はあちこちの新聞社のサイトでみることができるが、配信元の共同通信社47NEWSにリンク。ついでに、同文記事*1をいくつかピックアップして補足しておいた。
2は江刺弘子記者の署名記事で、紹介している数値やコメントの表現が1と一部違っている。
3は無署名で、1と2で言及していない駅長の体重なども紹介している。
4は各記事のソースにあたる関西大学の報道提供資料だが、残念ながら最初の2ページしか掲載されていない。分析手法や使用データなどの詳細はわからない。ちなみに、宮本勝浩教授の近年の業績は以下のとおり*2

2003年
阪神優勝の経済効果」を発表
2004年
「球界再編の経済効果」、「プロ野球のストのマイナス経済効果」、「東北楽天宮城県における経済効果」などを発表
2005年
阪神優勝の経済効果」、「セパ交流戦の経済効果」などを発表
2006年
「清原、中村選手のオリックス入団の経済効果」、「2008年大阪サミット誘致の経済効果」、「ディープインパクトの経済効果」などを発表
2007年
世界陸上競技選手権大阪大会の経済効果」、「シャープの堺市への液晶工場進出の経済効果」を発表
2008年
東国原英夫宮崎県知事就任以後の宮崎県と東国原知事の経済効果」を発表
くいだおれ人形の経済波及効果」を発表
白毛ユキチャンの経済波及効果」を発表
「2008年阪神優勝の経済波及効果」を発表

経済波及効果のことはよく知らない*3ので下手にコメントするとボロが出そうだから控えておくが、たま駅長人気を「町おこし」とか「地域活性化」という観点から捉えることには違和感がある。そういう要素が皆無だとは言わないが、第一義的には不採算の赤字鉄道路線を維持存続させるための増収策であり、鉄道会社の生き残りを賭けた経営戦略の一環として捉えるべきだろう。波及効果が10億円あろうが100億円あろうが、赤字が嵩んで資金繰りがつかなくなれば鉄道は消える。くいだおれ人形の経済波及効果が17億円あって、そこに9億円加わっても*4、「大阪名物くいだおれ」は閉店してしまったのだ。そのことを忘れてはならない。
以下、参考リンク。参考にならないものも一部混じっているが、気にしてはいけない。

*1:ただし、見出しに「招福」が入っている記事は原文の第3段落が欠けている。

*2:ベタコピペだとインデントが無効となって見づらいので、タグをつけて構造化した。

*3:興味のある人はこことかここなどを参照していただきたい。

*4:この数値そのものの吟味はしない。