それ以上でもそれ以下でもない

■それ以上でもそれ以下でもない

それは空集合です

「AがB以上でもB以下でもない」というとき、

AとBの間に順序関係が定義されていないことのほうが多いんじゃない?

たとえば「珈琲は紅茶以上でも紅茶以下でもない」と言うとき、

珈琲と紅茶の間の順序関係が定義されていないだけにすぎない。

んにゃー、空集合だよう。

1)xはa以上ではない → x<a

2)xはa以下ではない → x>a

1)と2)を同時に満たすxは存在しないのでそれは空集合です、って事です。

半順序集合を知らんのか・・・束論とか。ハッセ図書いたことある?

A>B, A>C, B>D, C>D

という集合{A,B,C,D}があったとき、BはC以上でもC以下でもないが、A>B>Dは成り立つよ。

「それ以上でもそれ以下でもない」というのはもちろん「それである」ということを強調した言い方なので、

数学用語として定着する前の日本語の「以上」「以下」には、等しいものを含まない用法もあったらしい。

つまり、古い用法では、以上は「より上」、以下は「より下」(つまり、未満だな)を意味することがあった。

「〜より上でも下でもない」なら「〜と等しい」で何もおかしいことはない。

古い用法が今でも慣用的に「以上でも以下でも無い」という言い回しに使われてるんだろう。

これが正しい。「それ以外」といえば「それ」自身を含まないのと同様に「それ以上」にも「それ以下」にも「それ」自身を含まない用法があった。「それ」自身を含む用法が広まるにつれ、それと競合する「それ」自身を含まない用法は次第に廃れつつあるが、「それ以上でもそれ以下でもない」の場合は「それ」自身を含む用法との競合がないので旧来の用法が生き延びているというだけのこと。
それはともかく、上の2番目の引用文から4番目の引用文にかけての議論の応酬がなかなか興味深かった。
2番目の引用文では、後に3番目の引用文で主張されることになる

xはa以上ではない → x<a
xはa以下ではない → x>a

の反例として「珈琲は紅茶以上でも紅茶以下でもない」を挙げているのに、3番目の引用文ではそれを無視している。これは単なる不注意によるものとも考えられるが、好意的にみれば大小関係のない事柄に「以上である/以上ではない」「以下である/以下ではない」という述語を適用すること自体を不適切なこととして退けているのだとも考えられる。
この立場によれば、珈琲と紅茶が比較不可能であり「珈琲は紅茶以上である」とも「珈琲は紅茶以下である」とも言うことが許されないのだとすれば、「珈琲は紅茶以上でも紅茶以下でもない」とも言えないことになるだろう。これらはすべて真でも偽でもなく、無意味な疑似文に過ぎないのだ、ということになるのだから。
それに対して、4番目の引用文は「以上である/以上ではない」「以下である/以下ではない」という述語を適用することが不適切ではない話題領域においても「xはa以上ではない → x<a」や「xはa以下ではない → x>a」への反例があり得ることを示して3番目の引用文への反論としている。
なんとも高度な知的空中戦であることか!