「獣害被害」とは何か?

関西電力原発4基が立地する福井県おおい町は、電源立地地域対策交付金を使い、農作物への獣害対策として鹿やイノシシなどが生息する山間部と、集落との間をフェンスで仕切る工事を始めた。

町内の全集落が対象で、総延長約160キロ、総事業費約18億円。ただ、全集落で農作物の被害が出ているわけではない上、被害額は年平均500万円程度で、「無駄遣いでは」との批判もある。

この記事、何かヘンだ。
常識的に考えて、単純計算で360年経たないと元がとれない事業を行うことはないわけで、総事業費か年平均被害額のどちらか、あるいは両方に、記事には書かれていない要因が隠されているのではないかと勘ぐりたくなる。もしかしたら単に間違えているだけかもしれない。
これだけでは何とも判断しがたいので、続報を待つことにしたい。
それにしても見出しの「獣害被害」というのは酷い表現だ。「獣害」というのは要するに獣から受ける害のことだから、その後に「被害」をつけるのは余計なことだ。字面だけみても「害」がダブっていて見苦しい。
……と書いたところで、もう一度記事を読み直してみた、明らかに不自然な記述に気がついた。

2015年度の完成予定で、11年度は約68キロ分の計7億3300万円を予算化。このうち国の補助などを除いた残りの2億8500万円を交付金でまかなう。

文中の「11年度」とは2011年度のことだろう。この記事の書きぶりではフェンス設置工事はつい最近始まったかのような印象を受けるのだが、2011年度はもう終わっている。2011年度予算を繰越でもしたのか? それとも予算が成立したときにはまだ2011年度だったので「11年度」と書いただけで実は2012年度予算のことだったのか? いや、2012年度の工事だとすれば、4月1日付の記事の段階で既に工事が開始されているというのはおかしい。4月1日は日曜日なのだから。
謎が謎を呼ぶ不思議な記事だ。