EM対W3
変な見出しをつけてしまった。。「E」と「M」と「W」と「3」は、手書きだと向きが違うだけで非常によく似た形になる。それを用いたミステリがあったことをご存知の方もいるだろう。でも、そのミステリとは関係がない。
「EM」とはEM菌のこと。「W3」はワンダースリーではなくワールドワイドウェブだ。
- 朝日新聞デジタル:「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森 - 社会
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- 【EM菌 「効果疑問」 検証せぬまま授業】報道前夜までの出来事を含むまとめ - Togetter
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このあたりを読んで、ふと思いついたのが今回の見出しだ。もちろん、ネット全体がEM菌に対抗しているということでは全然なくて、ごく一部の人々が騒いでいるだけなのだが、そのような動きがあるというだけでも他の多くの人々ら「EM菌というのは何となく胡散臭そうだ」というイメージを与えることに繋がっていく。
一方、ネット外では「EM菌というのは何となくよさそうだ」という雰囲気がどんどん広まっている真っ最中だ。上で紹介した朝日新聞の記事はその雰囲気に行政が一役買っている事例を問題視したものだが、そのスタンスが興味深い。
県東青地域県民局は2004年から、管内の希望校にEM菌を無償で提供し、実践を支援している。提供開始にあたり、県はEM菌による浄化活動が行われている川で1年間、水質を調査。だが、顕著な改善は確認されなかったという。
にもかかわらず継続している理由を「学校が水質浄化に関心を持ち、活動してくれること自体が有り難いことだから」と担当課長は話す。担当部署はこれまで、EM菌の効果を科学的に検証した文献の調査などはしていない。
【略】
教師は、効果に疑義があると知り「生徒にはきちんと説明したい」と語る。県の担当者は「配るのは学校側の要請だから」と責任を否定している。
環境美化のためにEM菌を配布しておいて効果の検証もしないというのは無責任ではないかという気もしたのだが、果たしてEM菌の配布は環境美化を目的としたものだったのか。「担当課長」や「担当者」の所属が書かれていないのでよくわからない。そこでちょっと調べてみると、青森県県土整備部河川砂防課の青森県ふるさとの水辺サポーター制度に基づき東青地域県民局地域整備部管内で認定されたふるさとの水辺サポーター の中にEM菌を河川に投与している団体があることがわかった*1。ただし、朝日の記事では東青地域県民局から学校へEM菌を配布していると書かれているので、水辺サポーター制度との関係はよくわからない。
さて、仮に「担当課長」ないし「担当者」が公共物としての河川担当、すなわち土木系の部署*2に所属しているのだとすれば、記事中のコメントの解釈も少し変わってくるだろう。EM菌の配布は国土交通省が推進している河川愛護運動に連なる事業として捉えられるからだ。
この運動は、身近な自然空間である河川への国民の関心の高まりに応えるため、地域住民、市民団体と関係行政機関等による流域全体の良好な河川環境の保全・再生への取り組みを積極的に推進するとともに、国民の河川愛護意識を醸成することを目的とする。
EM菌が河川の水質浄化に効果があればそれに越したことはないが、仮に効果がなくても「国民の河川愛護意識を醸成する」のに寄与するのであれば、EM菌の配布は無駄なことではない……というふうに一応は考えられる。もちろん、この考え方が素直に受け容れられるわけではないが。
ところで、もし「担当課長」や「担当者」が土木系の部署ではなく、環境系の部署に所属しているのだとすればどうか。やっていることは同じだから特に道義的責任の度合いに違いはないという考え方もあるだろう。だが、水質浄化に責任を負うべき部署の職員がEM菌を配布するのは、土木系の部署の職員が行うのとはわけが違う、というふうに考えてみたくもなる。
なんだか本題からどんどんそれてしまい、軌道修正が難しくなってきたので、今日はこれでおしまい。