久しぶりに武雄市について書いてみよう

去年の今頃、佐賀県武雄市*1について何度か言及したことがあったが、だんだん面倒になってこの日記では扱わなくなった。でも武雄市への関心が失せたわけではなく、Twitterではよく呟いている。直近ではこんなことを呟いた。

これは、次の記事を受けたものだ。

本日(5/9)、武雄市ICT教育推進協議会から樋渡市長に対し、武雄市立小中学校の児童生徒に整備するタブレットPCについて、答申がありました。

協議会座長の松原聡東洋大学教授から樋渡市長に、答申書が手渡され、「小中学校全学年の全児童生徒(約4,000名)全員に配布することが望ましい」と答申されました。

これを受け、樋渡市長は「来年4月以降、全学年、全児童生徒に整備するように取り組みたい」と述べました。

◯お問合わせ

武雄市教育委員会学校教育課

問い合わせ先が教育委員会になっているので、武雄市ICT教育推進協議会は教育委員会所管の協議会なのだろうと推測した。市長所管の協議会に関する事務を教育委員会事務局が補助執行している*2という可能性も考えられないことはないが、武雄市タブレットPC導入答申全文を読むとどう考えても教育委員会の権限に属する事柄*3を扱っているように思われる。で、「なんだかなぁ」という呟きになった次第。
考えてみれば、武雄市の図書館問題に興味をもったきっかけも、個人情報の保護とか「図書館の自由」といった観点からではなかった*4。以下のリンク先*5

今回の小中学生へのタブレット導入の件でも、武雄市では、全小中生4000人にタブレット配布へ : 武雄市長物語で書かれているとおり市長が前面に出ており、1年前のCCCとの協定書締結を彷彿させるものがある。なんだかなぁ。
ちなみに、「要綱設置の協議会」云々というのは、地方自治法第138条の4を背景としている。詳しくは審議会の設置根拠と報償条例に基づかい無い有識者会議を休止:大阪府 - 役所だってマネジメントするんだ。 - Yahoo!ブログなどを参照。
この武雄市ICT教育推進協議会、ここ数年の世の中の流れを考えれば、当然、条例に根拠規定があるのだろうと思って武雄市例規集で探してみたのだが、どうもそれらしい条例が見当たらない。それどころか、"武雄市 ICT 教育推進協議会" site:http://www.city.takeo.lg.jp/ - Google 検索でヒットしたのはわずか2件。この協議会、いったい、いつ組織されたものだろうか? そして、東洋大学の松原聡教授以外の委員は何人くらいいるのだろう? 検索の仕方が悪くて見つけられないだけかもしれないが、どうにも謎の多い協議会だ。

追記(2013/05/14)

はてなブックマーク - 久しぶりに武雄市について書いてみよう - 一本足の蛸経由で

のリンク先を見た。
特に興味深いのはこの委嘱状だ。市長名で委嘱しているので「武雄市ICT教育推進協議会は教育委員会所管の協議会なのだろう」という当初の推測が誤りであることが明らかとなった。それにしても「任命権者 武雄市長」と明記しているのは興味深い。今年1月1日現在の武雄市特別職の職員の給与、旅費及び費用弁償に関する条例には武雄市ICT教育推進協議会委員が挙げられていないが、4月15日までにちゃんと条例改正しているのだろうか?
わずか3000円弱の交通費でも、条例に規定がないと支給できない*6のだが……。

*1:武雄市の意図では武雄市役所 | Facebookが本来のトップページだろうと思うが、本文ふでは実用性を重視した。

*2:地方自治法第180条の2参照。

*3:地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第1号参照。なお、同法第24条の2の反対解釈により、市長は小中学校の教材の取扱いに関する事務を管理・執行することはできないと考えられる。

*4:むろん、どちらの観点も無視していいと考えているわけではない。

*5:どちらの記事も去年の5月のもの。その後、武雄市図書館・歴史資料館設置条例が改正されていることに注意願いたい。

*6:むろん、公金でなければ問題はないが。