「動物」の範囲

DVD付 新版 動物 (小学館の図鑑 NEO)

DVD付 新版 動物 (小学館の図鑑 NEO)

先日、テレビCMで小学館の図鑑NEOシリーズの新版にはドラえもんがナビゲートするDVDがついていると言っていて、「あ、ドラえもんの声が違う!」と違和感を覚えた。やっぱりドラえもんといえば、富田耕生野沢雅子ですよね。
てな話はさておき、ふと魔が差して新版4冊のうち『動物』を買った。ほかは『昆虫』『恐竜』『花』で、昆虫も恐竜も動物だから、なんだか変な分類だ。まあ、ボルヘスフーコーによって知られる「古代中国の百科事典」ほどではないにしても。
家に帰って図鑑を開くと、同じシリーズに『魚』『鳥』『両生類・はちゅう類』『水の生き物』『大むかしの生物』『人間』『飼育と観察』『カブトムシ・クワガタムシ』という巻がある*1ことがわかった。つまり、『動物』の巻は哺乳類を扱っていることになる。それならタイトルを『哺乳類』にしたほうが実態に即しているだろうと思うのだが、この図鑑は「3歳から高学年まで長く使える本格図鑑」とのことなので、小学校高学年まででは「哺乳類」では難しいと判断したのかもしれない。
とはいえ、日常言語の「動物」には哺乳類のほかに少なくとも鳥類も含むのではないだろうか? 昔から、哺乳類と鳥類は「禽獣」としてまとめられていたし、現代でも鳥獣保護法という法律*2があって、爬虫類や両生類などとは法的な位置づけが違っている。
もっとも、日常言語における物事の切り分け・仕分けは流動的であり、たとえば昔は蛇も蟹も蛸も蛤も虫のうちだったが、生物分類学の知識が浸透するに従って、今ではそういうことはなくなっているだろう。まあ、今でも蜈蚣と蜘蛛は今でも虫かもしれない。このあたりの日常的な感覚というのはちょっとあやふやなところがある。
虫の話はともかく、『動物』というタイトルをたとえば『動物(ほにゅう類)』というように表記してもらいたかった。
ところで、哺乳類の中には当然ヒトも含まれるわけで、この図鑑ではどういう扱いになっているのかと思えば、「テナガザル、ヒトのなかま」というコーナーにいちおう項目があった。ただしイラストはなく、そのかわりに「(ここに写真をはりましょう)」という欄がある。なるほど、考えたものだ。
奥付によれば、サル目の担当は東洋大学経営学部教授の室山泰之氏……あれ、この人、京都大学霊長類研究所の人だったのでは? 室山泰之 (マーケティング学科) | 東洋大学研究者情報データベースをみると、確かに同一人物だ。でもなぜ経済学部マーケティング学科??

*1:ここに掲げたのは動物関係の巻のみ。

*2:これは略称。正式には2002年全部改正以前は「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」、それ以降は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」、今年5月の一部改正施行後は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」となる。