COP10は遠くなりにけり

内閣府が20日付で発表した「環境問題に関する世論調査」によると、生物種や生態系の豊かさを示す「生物多様性」という言葉を「聞いたこともない」とした回答が52・4%に上った。平成24年6月の前回調査41・4%から11・0ポイント増え、認知度が低下している実態が浮き彫りになった。

まあ、予想通りといえば予想通りではあるのだが、一抹の寂しさを禁じ得ない。
いま、世論調査 - 内閣府を見ても今回の「環境問題に関する世論調査」の結果はまだ掲載されていないようだが、参考のため前回の調査から生物多様性に関する記述の一部を引用しておこう。

生物多様性」の言葉の意味を知っているか聞いたところ,「言葉の意味を知っている」と答えた者の割合が19.4%,「意味は知らないが,言葉は聞いたことがある」と答えた者の割合が36.3%,「聞いたこともない」と答えた者の割合が41.4%となっている。

前回の調査結果と比較して見ると,「言葉の意味を知っている」(12.8%→19.4%),「意味は知らないが,言葉は聞いたことがある」(23.6%→36.3%)と答えた者の割合が上昇し,「聞いたこともない」(61.5%→41.4%)と答えた者の割合が低下している

2010年に名古屋で開催された第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)にあわせて環境省が大々的に生物多様性の認知度向上のためのキャンペーンを展開したのも今は昔。条約締結国の間で合意が得られるのが絶望視されていた状況で最後の最後まで諦めずに、会議最終日に「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」の採択にこぎ着けた議長の名は、驚くべきことに生物の多様性に関する条約 - Wikipediaにも名古屋議定書 - Wikipediaにも愛知ターゲット - Wikipediaにも記載されていない。もちろんCOP10の議長のその後の人生は生物多様性の認知度と関係ないのだが、なんだか象徴的だ。