ゆかいな妄想

観念論も実在論もどちらも主観という悪魔から逃げ出ることはできないのです! みてみなさい! あなたの足元を小さな大名行列が歩いています! あ、定期を自動改札に入れたら代わりにメイドさんが出てきました! あなたが入れたのは定期券? それともメイドさん? 定期券です! 正直なあなたには定期券と共にメイドさんも差し上げましょう! ひゃっほー! そして私はメイドさんと一緒に仲良く暮らしたのでした! めでたしめでたし!

ところが、電車が駅について彼女が立ち上がったときに分かったのだが、超ミニかと思われたのは、実はスカートではなくて、キュロットパンツなのであった。その瞬間、私の欲情は一気に冷め、まるで地獄に突き落とされたかのような幻滅を味わうのである。

森岡正博『感じない男』ちくま新書(2005)p.14