ショートショートは超短篇に非ず

ショートショートの世界 (集英社新書)

ショートショートの世界 (集英社新書)

本書のあとがきに次のように書かれている。

ショートショートに興味を持ち、積極的にショートショートを書いている人たち(主に若者でしょう)がいるのは嬉しいです。確かに嬉しいのですが、困ったことに、ネットのショートショート者たちの多くは、ショートショートについて何も知らないのです。
事例は挙げませんが、ほんと、インターネットの掲示板には、とんでもないデマやデタラメが平然と書かれています。そういった書き込みを目にするたび、私は愕然としてしまうのです。
ネットで活動している人々の中にショートショートについてとんちんかんな発言をする人が多いのは歴然たる事実だが、その理由は概ね次のようなものだろう。

  1. ショートショートの名作をほとんど、あるいは全く読んでいない。
  2. ショートショートがどのように書かれ、読まれてきたかという歴史を知らない。
  3. ショートショートについての確かな意見を見聞きする機会が少ない。

そこで、おそらくは世界初のショートショート入門書の出番だ。これは有難い。ネットや同人誌などでショートショート(と称する小説)を書いている人すべてに読んでもらいたい、と切に願う。
もちろん、実作者以外の人にとっても非常に興味深く、役立つ本ではあると思う。ただし、ガイドブックとしてみたとき、この本で推奨されているショートショート集の多くが現在新刊書店では入手困難であることは承知しておかなくてはならないだろう。*1残念なことだが、これが日本の現実だ。

*1:どうやら著者は古書店での出回り状況を基準に入手の難易を考えているふしがある。