先を越された……

A HAPPY LUCKY MAN

A HAPPY LUCKY MAN

『玉響荘のユーウツ』を読んだときに続けてすぐに読むつもりだったのに、本を探すのに手間取ってしまい、その間にここに先を越されてしまった。残念。
何となく気合いが抜けたので、前回のような煽りはやめて淡々と箇条書きしておこう。

  • デビュー作にして既に完成された文章と構成力でぐいぐいと読者を引っ張っていくのは見事だ。
  • ただ、主人公に降りかかる無理難題に有機的連関がないため、やや散漫な印象を受ける。
  • 基本的には第2作『玉響荘のユーウツ』と似たような話だが、よりシステマティックに構成されているという点で、『玉響荘』に軍配を上げたい。
  • もっとも、様式美よりも奔放さを重視する人なら、こちらのほうが上だと評価するだろう。
  • 続篇を暗示するような終わり方になっているが、本当に続きがあるのだろうか?
  • 版型と装幀で損をしているような気がする。もったいない。
  • エンターテイメントなら何でも書ける実力がありそうな気がするが、個人的には「ラブコメ+サスペンス」または「奇想SF+活劇」を希望したい。