属性と固有名詞

属性と固有名詞を対比するのは本当はおかしい。言語論のレベルで語るなら、固有名詞に対置されるのは述語だろうし、存在論のレベルで語るなら、属性と対置されるのは実体とか個体とか、場合によっては対象とかだろう。まあ、「固有名詞(によって名指されるもの)」という含みなのだろうから、これで議論が混乱することはなさそうだが。
実際問題として、個体の識別は属性をもってしかできないので、裸の個体のようなものを措定してもあまり意味がないようにも思うのだが、他方、物件はともかく人格は属性の束には還元されないという根強い直観もあり、これはこれで無視するのは難しい。