読者の立場

杉江松恋氏の日本推理作家協会賞変革についてのアンケートについてちょっと考えてみた。
日本推理作家協会と特に縁のない読者の立場からすれば、日本推理作家協会賞(以下、「推協賞」)のもつ二つの側面のうち、功労賞的要素にはあまり関心はない。もう一つの年間ベスト作品賞的要素に着目するなら、既受賞者の再受賞を認めない現行の方式はあまり好ましいものとは思えない。そうすると、推協賞を純粋な年間ベスト作品賞に改めるか、または、今の賞とは別に年間ベスト賞を新たに設けるか、そのどちらかがよいように思われる。*1
だが、作品賞という形をとってはいないものの、年間ベストアンケートの類は今でもいくつもある。この上にもう一つ付け加えてもあまり意味がないのではないかという気もする。それよりも、推理小説の発展に貢献のあった人への功労賞としての側面をより強調すべきではないか。部門の区分をとっぱらって、「ミステリ版国民栄誉賞」のような形に再編するのも一つの手だろう。
予め用意された選択肢にはそのような案はないので「その他(具体的に提案ください)」に一票入れて、コメント欄で提案してみようかと一瞬思ったのだが、よくよく考えてみるとこの提案は純粋な読者の立場からのものではない。ここでは、ミステリーを愛する読者の方にもご意見を伺えればと思っています。と書かれているだけだから、別に自分の立場を堅持しようが他人の立場を忖度しようが構わないといえば構わないのだけど、なんだか不純な気がしたので投票するのはやめにした。
ところで、そろそろ三谷幸喜と「古畑任三郎」のスタッフに推協賞を授賞してもいい時期だと思うのだが、今の枠組みだと「評論その他の部門」になってしまう。無理っぽいなぁ。

*1:2006/01/05(木) 23:38:14現在の投票数は45で、うち「すべての部門での既受賞者の再受賞を認める」が19票、「新たに既受賞者も含めたその年の全作品の中から別の大賞を設ける」が16票となっている。