有名人とお友達

よく、自分が有名人と友達であることを吹聴する人がいるが、そんな人を見るたびに「今はそれでいいかもしれないけれど、将来自分が何かの分野で業績をあげて有名になったらどうするんだろう?」とひとごとながら心配になる。「たいして付き合いが深いわけでもないのになれなれしく近寄ってくる輩を疎ましく感じても、過去の自分の例があるから邪険に扱うこともできないだろうし」
そこまで考えて、はっと閃いた。「そうか! 有名人のお友達たちは自分で名を上げようという野望のない、節度ある人々だったんだ」
そう考えると、彼ら彼女らの言動がいかに慎ましく身の丈にあったものかがよくわかる。人間誰しも持っている功名心や売名欲を昇華し、自ら有名人になるのではなく、その隣の場を占めるだけで満足するのだから、ほとんど聖人君子だ。
翻って、人生の先行きがだいたい見えてくる年齢になっても何かひとかどの人として世間に認められたいという欲求を捨てきれない自分が恥ずかしくなってきた。穴があったら隠れたいほどだ。