催眠術にかかったといえるのはどのような場合か?

たとえば、催眠術師が被術者に対して「さあ、あなたは鳥です。大空を自由に飛び回る鳥です。さあ、羽ばたきましょう」と言ったとする。その時、被術者が両腕をばたばたと振り回したとすれば、その被術者は催眠術にかかったと考えられるだろう。
いや、もしかしたら催眠術にかかったふりをしているのかもしれない。もしそうだとすれば、被術者は本当は催眠術にかかってはいなかったということになる。それとも、自分が鳥だと思い込ませる催眠術に現にかかっていながら、同時にその催眠術にかかっているふりをしているということは可能だろうか?
もう一つ別の例。「さあ、これからあなたは女性になります」と催眠術師が言い、被術者がその気になったとしよう。この場合は、問題なく術にかかったと判定していいだろうか?
次の場合はどうか。

  1. 被術者が女性である場合
  2. 被術者は男性であるが、施術前から自分は女性だと思い込んでいる場合
  3. 被術者は女性であるが、施術前には自分は男性だと思い込んでいる場合

さらにもう一つ別の例。「さあ、あなたの腕はだんだん重くなります。おもーくおもーくなり、地面に手をつくと離せなくなります」と催眠術師が言い、被術者がいきなり両腕を譜の回して「こけっこけっ、こけこっこー」と鳴き出したとしよう。明らかに催眠術師が意図したのとは別の効果が生じているわけだが、その場合でも腕が重くなる催眠術にかかったといえるのだろうか?