空に星、地には新星
- 作者: 笠辺哲
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/12/26
- メディア: コミック
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さて、これは近年稀にみる優れたショートショート集だ。いや、収録作はみな16ページ以上の長さがあるので、ショートショートと言ってしまうとちょっと語弊があるのかもしれない。でも、長さじゃないんだ、スピリッツなんだ、と言い切ってしまおう。……と強調してみたものの、そもそも「ショートショート」という言葉と、この言葉で表されるジャンル*1に思い入れがない人にとっては、全く意味が通らないことだろう。まあ、これは仕方がない。
閑話休題。以下、各収録作ごとに簡単に感想を述べておく。
- 島一家
- オチの切れ味がいい、ショートショートのお手本のような作品。
- エデュケーション フロム アウタースペース
- これは明らかに寓話だが、ここからどのような寓意が読み取れるかは明らかではない。
- 衛生下士官
- 非日常と日常のコントラストに、ふと11年前の阪神梅田駅を連想した。
- バニーズ
- 博士の名前は出てこないが、きっと彼もエフ博士の一人なのだろう。
- ロッカー貿易
- こちらは東芝博士という名前だが、からくり儀右衛門が作った会社とは関係なさそうだ。
- 渡る世間
- ときには仏は鬼より残酷だ。
- 虎の門
- とことん、どん底。
- わすれな草
- 5年前には新宮に住んでいたことを思い出した。
- イパネマの娘
- 最後は蛇足だが、蛇足であるからこそ傑作となったのだろう。
どれもこれも粒よりの作品だが、個人的な好みでいえば「渡る世間」がベストで、「島家族」と「わすれな草」と「イパネマの娘」が同率2位だ。