本屋隊商・本屋大笑・本屋対照


にもかかわらず、知り合いの書店員のみなさんは一様に肩を落とし、「だれが投票したんでしょうねえ」とぼやいてるんです。投票制の賞は民主主義のルールに則って受賞作が選ばれるわけだから、本屋大賞がメジャーになって投票者が増えれば、やっぱりよく読まれたものが強い。島田雅彦氏の言葉を借りれば「文字通り民主的な作品!」が受賞するわけです。

ただ、私の勝手な思い込みだが、幼い頃から憧れをもってきた「書店」と「書店員」という存在が「本を最も知る立場」として選んだ本が、結局は他の選考で選ばれた本と変わりがない、というのは少し残念だ。テレビや新聞では報道されなくても、大規模な広告が展開されなくても、ドラマ化や映画化がされなくても、「こんなに面白い本があるんだよ」と教えてくれるのが「本屋さん」だとどこかで期待している気持ちがあるからだ。それは本当に勝手な思い込みです、と言われてしまえばそれまでだが。

「本屋さんがいちばん売りたい本」がベストセラー本であるなら、この賞自体なんの意味もなくなってしまうでしょう。だったら、もう本屋大賞なんて止めたほうがいいです。それともやはり、もっともっと売りたいということでしょうか。う〜ん。そりゃそうでしょうね。

プロが選んでこのラインナップってどういうこと? との苛立ち、怒り、ごもっともです。ですがひとつ、根本的なことをここで言わせてください。
書店員は確かにプロです。何のプロか? 「本を売るプロ」です。
【略】
本に詳しい書店員のオススメを知るにはどうすればいいか?
答えは簡単。本屋さんに行けばいいのです。