マンガはいいな、楽しいな

長い道 (Action comics)

こうの史代の代表作といえば『夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)』ということになるだろうが、ファンの間では『長い道』のほうが評価が高い、という話をどこかで聞いた覚えがある。どこで聞いたのかは忘れてしまったが、本当に『長い道』のほうが『夕凪の街桜の国』より面白いのかどうか、ということに比べればたいした問題ではない。
で、先日『長い道』を書店で見かけて何となく買ってしまったので、早速読んでみた。
結論からいえば、両者はテーマも雰囲気も構成も全然別物なので、同一の尺度でこっちが上とかあっちは劣るとか、そういった評価はできない。
涙を誘うような感動はないが、読者を微妙に不安な気持ちにさせるという意味では「心を揺さぶる」マンガだ。別にホラーではないのだが、一種独特な味わいがある。知らず知らずのうちに脳髄に染み入って気がついたら手遅れになっている、という感じ。どんな感じだ？
奇妙で面白いマンガが好きな人にはお薦め。平凡で微温的なマンガが好きにはお薦めできない。