本当に旨い豆腐と最高級の醤油

たとえば「本当に旨い豆腐は何もかけなくても旨い。いや、豆腐本来の味を存分に味わうためには醤油や薬味はかえって邪魔になる」と主張する人がいたとしよう。なるほど、それはそれで一つの見識だろう。
また、こんな人もいるかもしれない。「最高級の醤油はもはや単なる醤油ではない。他の食材の味の引き立て役ではなく、それ自体が主役となるのだ。だから、最高級の醤油に出会ったなら、小皿に少量注いで、そのままなめるのがいちばんだ」と堅く信じている人が。醤油をぺろぺろとなめる姿は滑稽かもしれないが、別に咎め立てることもあるまい。
さて、目の前に本当に旨い豆腐と最高級の醤油があるとせよ。豆腐に何もかけずに食すのも、醤油をそのままなめるのも、結構なことではあるのだが、それを同時にやっているのを見かけたなら、たいていの人は馬鹿馬鹿しく感じるのではないだろうか?
なお、これは何か特定の話題を仄めかすつもりで書いたものではないので、深読みしないように。