不確実な推理

名探偵と容疑者の会話。
「お嬢さん。実は、私はあなたのことをずっと疑っていました。こっそりあなたの行動を監視していたのです。昨日、あなたが用足しを終えてから、私はあなたの残り香をかぐ……もとい、何か手がかりがないかと思ってトイレに行ってみたのです。そこで、ある重要な手がかりを発見したのです」
「な、なんでしょう? 水はちゃんと流したはずです」
「便座の蓋ですよ、お嬢さん。蓋があがっていたのです。お嬢さん、いいですか。蓋があがっていたのですよ!」
「ご、ごめんなさい! あたし、立ったまま用を足す癖があるんです。変な女ですよね、あたし。ぐすん」
「……。いや、まあ、なくて七癖といいますし、他人に迷惑がかからなければ、別にいいんじゃないでしょうか」