読書は信仰ではない

ある本を読んで深く感動し熱烈な讃辞を述べている人が、同時に全然別の傾向の本を同じくらい絶讃していたとしても、別にその人は不誠実でもなければダブルスタンダードに陥っているわけではない。なぜなら、本の面白さは他の本の面白さを排除するものではないからだ。熱狂的なファンのことをよく「信者」と呼ぶが、いま述べた点においてこのたとえには限界があると言わざるをえない。