幽霊はなぜとしをとらないのか?

もちろん、としをとる幽霊もいるだろう。どうせフィクションなんだから、どうとでもなる。ただ、圧倒的多数の幽霊は死んだ時の年齢のままで、それ以上成長することもなければ老化することはない。
なぜか?
その疑問への解答を思いついた瞬間は狂喜したが、しばらく経って落ち着いてみると、かなりありきたりで平凡な考えのように思えてきた。堂々と書くのも憚られるので、「続きを読む」記法を用いてこっそり書いておく。関心のある人だけ答え合わせのつもりで以下の文章を読んでほしい。
幽霊は一度死んでいるからもうこれ以上死ぬことはない。だから、もし幽霊がとしをとるとすれば、どんどん老化が進んで止まるところがない。しかし、我々は200歳の老人や5000歳の老人を見たことがないので、具体的にどのような姿をしているのかが全く想像できない。フィクションに登場する超自然的な老人も見た目はたかだか100歳程度、あるいはもっと若い姿で描写されるが、それも我々の想像力の限界*1のせいだ。従って、としをとり続ける幽霊もまた想像力の限界という壁にぶちあたることになる。それを避けるために、幽霊にはとしをとらせないのだ。

*1:あるいは、これは言語の「文法」の問題といえるかもしれない。「見た目が350歳くらいの老人」という表現について考えてみよう。