読む人へ

あなたは今この文章を読んでいる。あなたは今この文章を読んでいる。あなたは今この文章を読んでいるんだってばっ!
否定しても無駄だ。どんなに思いっきり首を振っても、あなたが今この文章を読んでいるという事実はまったく揺るがない。
証拠?
そんなものいらない。証拠なんかなくったって、あなたが今この文章を読んでいることは絶対確実で疑いようがない。
あなたは今この文章を読むことを強制されているわけではない。あなたは今この文章を読むように矯正されているわけでもない。あなたは今この文章を読んで嬌声をあげているかどうかはわからない。ともあれ、あなたは今この文章を読んでいる。あなた自身の意志によってこの文章を読んでいる。
あなたは今この文章を読まないでおくこともできた。あなたはこの文章を読むのを途中でやめることもできた。にもかかわらず、あなたは今この文章を読んでいる。最初から順にとばさずに読んでいるかどうかは保証の限りではないけれど。
あなたはこの文章を読んで「はい」と答える自由をもっている。もちろん「いいえ」と答える自由ももっている。ふたつにひとつ、どちらでも選んでいい。さあ、どっちを選ぶ?
あなたが今読んでいるこの文章には「さあ、どっちを選ぶ?」以外に問いかけがない。従って、あなたが「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、それは「さあ、どっちを選ぶ?」という質問のこたえでしかない。もしあなたが「はい」を選んだなら「はい」と答えるがいい。もしあなたが「いいえ」を選ぶなら「いいえ」と答えればいい。どちらでも自由だ。あなたはこの質問に関していかなる束縛からも解放されている。もちろん、あなたは「はい」を選んで「いいえ」と答えることもできるのだ!
あなたはそろそろこの文章を読み終えようとしている。あなたはそろそろこの文章を読み終えようとしている。あなたはそろそろこの文章を読み終えようとしているんだ、んだんだ。
あなたがこの文章を読み終える前に、最後に一つだけ言っておこう。そう、たった一つだけだ。一つだけだが大切なことだ。さあ、読み逃さないように。
一つだけ。