琥珀のまちのシャッター通りの書店にて

窓際OLトホホな朝ウフフの夜 (新潮文庫)

窓際OLトホホな朝ウフフの夜 (新潮文庫)

東北新幹線で一気に八戸まで北上し、そこから八戸線に乗って久慈駅に到着したのは正午過ぎのことだった。案の定さびれきった駅前の商店街をぶらついていると、書店が開いていたので中に入ってみる。店番の老人のほか客がひとりいて、フランス書院文庫を物色していた。
何か買おうと思ったが、鞄の中には今朝八戸駅構内の書店で買った『レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫)』が入っている。「早川書房八戸駅店担当高橋さんプロデュース」だそうだ。まだ冒頭の1篇を読んだだけなので先は長い。小説本はやめておこう。
で、わりと軽そうなエッセイ集を買った。
ときおり三陸地方独特の風光明媚な海岸線に目を奪われつつ、さくさくとエッセイを読み進める。ところが、中盤以降どんどんほろ苦く切ないエピソードになっていく。重くはないので読むのが辛くなったわけではなかったが。
やがて日もくれて、何度か乗り継いだ列車が気仙沼駅に到着する頃にこの本を読み終えた。2輌編成のうち1輌を切り離し、ここから先は単行となる。まだ20時なのに一ノ関行き最終列車だ。
本を鞄にしまい、読みかけていたもう1冊の本を取り出す。海外文学は読むのに時間がかかる。この旅行中に読み終えるのは無理だろう。