乗り残し

北海道へ行ってきた。先日書いたとおり、函館滞在時間26分という行程だったので、果たして北海道旅行といっていいものかどうかはわからないが、ともあれ、北海道に足を踏み入れたのは確かだ。
3年ほど前に北海道に行ったときは、行きは飛行機、帰りはトワイライトエクスプレスで函館を素通りした。函館駅に降り立ったのはいつのことだったか。駅構内で夜行列車を待っている間に読んだ新聞の1面トップ記事が湾岸戦争の勃発だったという記憶があるのだが、アメリカがイラク空爆したのは1991年1月17日で真冬だったから、これは記憶違いのはずだ。これまでの北海道旅行はみな夏場だったのだから。いや、もしかしたらイラククウェート侵攻の時だったか? うーん、よく覚えていない。
記憶にある函館駅の姿と比べると、随分ときれいになっていたが、駅舎やホームの基本的な構造は変わっていなかった。駅の中には書店があって、まだ朝7時前だというのに、もう開いていた。せっかくだから何か記念に1冊買おうと思って店内を見回してみると、『カンタン刑』があった*1。おお、懐かしい。目次をみると半分以上読んであったが、どれもこれも初めての北海道旅行以前に読んだものばかりで、細部はすっかり忘れてしまっている。別に北海道と縁のある本ではないが、懐かしさのあまり、ついふらふらと買ってしまった。
閑話休題
今回の旅行の目的は、JR東日本の乗り残してあった線区の完乗だ。北海道はそのついでに過ぎない。
まず、上越新幹線の長岡-新潟間が未乗だったので、それを片づけて、ついでに日本を代表する現代美術館のひとつ、新潟県立万代島美術館を訪れた。所蔵品を中心とした展覧会、美術の森―小さな10の展覧会が開催中だったので、それをじっくり堪能してきた。
博物館の所蔵品展というのは概して地味だが、新聞社やテレビ局がスポンサーについた派手な特別展よりも、ある意味ではずっと面白い。というのは、その博物館の真の実力が展示に現れるからだ。客寄せパンダのような名物・名画がなくても、学芸員のセンスとアイディア次第で、非常に面白い展覧会に巡り会えることもある。その点、この展覧会は、10の全く独立の小テーマ企画展示の合わせ技で勝負するという趣向が面白く、入場料以上の価値はあると思った。
ところで、この展覧会のポスターやチラシ、広告用パネルをみると、先月まで開催されていた「ゴヤ版画展―「カプリーチョス」「戦争の惨禍」連作を中心に」とセットになっている。「ゴヤ版画展」のほうも所蔵品展で、どちらもおそらくスポンサーはついていない。で、経費削減のために2回分のポスターを1枚にまとめたのだろう。公立博物館冬の時代を象徴しているかのようだ。
また脱線した。
東北地方のJR線は去年3回旅行してほとんど乗りつぶしてあるのだが、秋田新幹線がまだだったので、ささっと乗ってきた。新在直通運転を始める前に乗っているので、別に乗らなくてもいいといえばいいのだが、名前だけでも「新幹線」というからには、いちおう乗り直しておいたほうがいいだろう、という判断だ。全く未乗の北上線、乗ったかどうか定かではない陸羽東線石巻線、そして乗った後に延長してしまった仙石線にも乗って、これでJR東日本は完乗。
……と思ったのだが、よく考えれば鶴見線の一部区間を乗り残していた。ああ、どうしよう。

*1:この本、なぜか駅の売店でよく見かけるのだが、なぜだろう?