下克上の野望を胸に抱いた人が一迅社文庫創刊情報を速報で流したようです
今朝の続報。
一迅社文庫が5月20日に創刊らしいので速報でお伝えします - 平和の温故知新@はてなという記事があがっていたので、早速一迅社文庫公式サイトを見に行ったら、ちゃんと情報が出ていた。んー、公式サイトに情報が掲載されているなら、リンク張っておくだけで十分じゃないかな。本当に下克上云々を実現したいなら、インサイダー情報を入手したら、モラルもエチケットも捨ててなりふり構わず情報を垂れ流すという姿勢が必要なんではないかと。
時にはガセネタを掴まされることもあるだろう。また、「ここだけの話」をネットに流されて怒り出す人もいるだろう。炎上リスクも負うことになろう。だが、大義のためには多少の犠牲はやむを得ない。「世界中みんなが敵だ。たとえ今そうでなくても、いずれ敵に回すことになる」という覚悟をもち、勇気を出して修羅の道を歩むがいい!
それはさておき、一迅社文庫の創刊ラインナップについて、ちょいと感想をば。といっても、杉井光とわかつきひかるしか読んだことがないのでほかの人についてはコメントできないのだが、少なくともこの2人には実力があるし、ラノベファンの間で評価が高まっている。い人材をいいタイミングで引っ張ってきたものだ。
ただ不安材料もいくつか見受けられる。ひとつは、平和氏も指摘しているように、「新人賞が無い+漫画のノベライズが無い」ということ。新人賞がないと、ワナビーの間での注目度が上がらない新しい人材の発掘が難しいし、実績のない新規レーベルの初速時の支えとなるノベライズが貧弱*1では、安定した売上を見込むのが難しいのではないか。
もう一つの不安材料は、夏に向けて創刊を予定しているらしい少女向け「一迅社文庫」だ。なぜこれが不安材料かというと、
少年向けに続き、2008年夏に少女向け「一迅社文庫」も創刊予定!!
「コミックZERO-SUM」誌上で大人気作品のノベライズ版や人気ゲームのノベライズ版も登場します!(詳しい情報は次回以降の更新を待ってね)
この文章を読んだだけでは、少年向けと少女向けの関係がよくわからない。同じ「一迅社文庫」というレーベル内で、まず少年向け作品を出して、ついで夏に少女向け作品も加わるということなら、創刊は1回きりのはず。他方で、5月と夏に2回創刊するというなら、少年向けと少女向けは別レーベルということになる。だったら、少女向けレーベルの名称は何なのか? まさか『少女向け「一迅社文庫」』などという名称ではないと思うが。
同一レーベルにしてしまうとレーベルカラーが曖昧になる。かといって別レーベルにするとそぞれのレーベルの刊行点数が少なくなってしまう。間をとってレーベル内レーベルにするのが順当だと思うが、上の引用文ではそのような位置づけが見えてこない。このままでは今後、広告を打つのが難しいのではないか。
たかが名称、されど名称。
今では当たり前のように受け止められている「電撃文庫」も創刊当時は、そのインパクトの強いレーベル名で話題となった。最近では「ガガガ文庫」がそうだ。それらに比べると、「会社名+文庫」という無色透明なレーベル名は印象が弱いのではないだろうか。今後、総合文庫に育てていくのだとすれば、余計な色がついていないレーベル名にも利点があるだろうが、当座は強烈なキャッチフレーズか二つ名が必要ではないかと思う。
ネガティヴなことばかり書いてしまったが、創刊前に消滅したカノン文庫に比べれば遙かに前途有望だと思う。もしかしたら、ゼータ文庫よりも期待が持てるかもしれない。このまま順調に軌道に乗れば、ゼータ文庫が果たせなかった『こんびにさんご軒へようこそ―なつやすみの奇跡 (EXノベルズ)』の再刊もお願いしたいものだ。
*1:『零と羊飼い』は『羊の方舟』のノベライズ(?)のようだが、改題してしまっては訴求力が弱くなる。
*2:小林めぐみのデビューは富士見ミステリー文庫ではなく富士見ファンタジア文庫、萩原麻里は富士見出身ですらないので「出身」を「関連」に訂正しました。