Hey riddle riddle

小説すばる 2008年 06月号 [雑誌]

小説すばる 2008年 06月号 [雑誌]

小説すばる 2008年 07月号 [雑誌]

小説すばる 2008年 07月号 [雑誌]

小説すばる」では先月発売の6月号から米澤穂信の連載小説「追想五断章」が始まっているので買い始めたが、6月号掲載分を読む前に7月号が出てしまった。このまま放置すれば来月には8月号、再来月には9月号、と溜まっていくので、一念発起して2ヶ月分まとめて読んだ。
時は平成4年、舞台は武蔵野にある古書店、主人公は学資不足で大学を中退して古書店に居候している青年。そこに松本から一人の若い女性が訪れる。昨年なくなった父親が若い頃に書いたリドルストーリー5篇を探してほしい、との依頼を受けて主人公は連載第1回で「ねむりひめ」、第2回で「転生の地」と題する短篇小説を発掘する。依頼主はそれぞれの作品の結末にあたる文章を持っており、謎を残して途切れた「ねむりひめ」には一行*1のオチがつけられたが、「転生の地」のオチの前で第2回が終わり、謎の解決は8月号に持ち越されている。
入れ子になった5つのリドルストーリーと、それを取り囲む物語で構成された意欲的な技巧作、と言いたいが今のところはまただ海のものとも山のものともしれない。「ねむりひめ」は「女か虎か」のような二者択一パターンなので、オチに意外性は全くないが、「転生の地」には切れ味のいいサプライズエンディングを期待したいところだ。また、枠外の本筋も単に5つのリドルストーリーの発見の顛末を語るだけの単調にものではなく、どこかに捻りがほしいものだ。『生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術』のような構成上の大仕掛け*2があればさらにいい。
どうでもいいが、リドルストーリー - Google 検索でトップにヒットするのがここだというのは不愉快だ*3

*1:ただし、「小説すばる」の段組の都合で二行になっている。

*2:具体的な仕掛けのネタをひとつ思いついたが、もし当たっていた場合、意図せずネタを明かすことになるし、外れていたらぬか喜びもいいところなので、いずれにせよここには書けない。

*3:不愉快な理由はここを参照のこと。