その昔、「論より数字 勘より統計」という標語がありました

誰も消費者物価地域差指数に言及していない。なぜだ?

 都道府県庁所在市別にみると,東京都区部が110.9と最も高く,次いで横浜市が110.4,大阪市が107.2,京都市が106.0,静岡市が105.1などとなっている。

 一方,最も低いのは,宮崎市の96.5で,次いで那覇市が96.6,秋田市が97.8,松山市が98.8,前橋市が98.9などとなっている。

 なお,東京都区部宮崎市に比べ14.9%高くなっている。

これは平成19年平均消費者物価地域差指数(全国平均=100)の総合指数(持家の帰属家賃を除く)の概況だ。「持家の帰属家賃」というのは、実際には家賃を払っていない持家がもし借家だったと仮定した場合に想定される理論上の架空の家賃のことなので、上の指数には通常の家賃は含まれている。
家賃込みだと東京の物価が他地域より高いことは言うまでもないが、では家賃を除けばどうか。東京が高いのは家賃だけ、と言えるのかどうか。それを知るためには、「家賃を除く総合」という系列をみるとよい。
表   平成19年平均消費者物価地域差指数EXCEL】から、家賃を除く総合指数を都道府県庁所在市別にみると、横浜市が108.7と最も高く、次いで東京都区部の108.1となっている。総合指数とは1位と2位の順序が入れ替わっているが、東京と横浜の差は0.6ポイントに過ぎない。一方、最も低いのは宮崎市の97.3で、次いで那覇市の97.4となっている。東京都区部宮崎市に比べて11.1%高くなっている。
従って、東京が高いのは家賃だけというのは間違いで、家賃以外の物価もおしなべて高いと言える。ちなみに、食料だけをとっても東京は都道府県庁所在市別で最も高い108.4で、最も低い秋田市の94.6に比べると14.6%も高くなっている。
なお、言うまでもないことだが、「物価が高い=生活費が嵩む」というわけではない。いくら物価が低くても、遠くの店に自動車で買いに行けば燃料費がかかるので、その分高くつくことになる。