都市景観の「美しさ」とは
嘘をつかない,正直なデザイン,「本気で美しい景観をつくれますか」 - 俺は魚だ,と言ってみるテストを読んで、ふと都市景観について考えてみた。あまり元記事とは関係がない。
都市景観の美しさにはさまざまな要素が絡んでいると思うが、ぱっと思いつく要素を三つほど挙げてみよう。
- 壮大な美しさ
- 人間の身体感覚のスケールを遙かに超越したような、馬鹿でかい建物や街割に感じる、問答無用の畏敬の念のようなもの。巨大建築物のある風景はたいていこれに該当するが、特にひとつ挙げるとすれば天理市の風景*1か。一歩間違えると珍日本紀行*2になりかねない危うさが魅力。
- 調和のとれた美しさ
- 一定の様式の建物が建ち並び、ひとつひとつの建物にはあまり見るべき個性はないけれど、全体として非常に整った印象を受ける街並みに感じる安心感のようなもの。全国各地で古い街並みを保存しようという動きがあって、その努力は評価するが、実際に重伝建*3に行ってみると、結構歯抜け状態になっていてがっかりすることがある。むしろ、高度経済成長期のニュータウンなどのほうが調和がとれているようにも思うが、まだ世間の感心は低いようだ。うかうかしているうちに貴重な昭和遺産がどんどんなくなっていくよ!
- はっと意表を衝かれる美しさ
- 非日常的で、ありうべからざる光景を目にしたときに感じる驚きと魂を揺さぶられるような感動。並外れて大きな建物も、並外れて整った街並みも、広い意味ではこの項目に該当するのだが、それらを除くなら、小規模かつ周辺との調和を掻き乱す存在でありながら、強烈な存在感を主張する建物のある風景が典型。具体例は、うーん……まことちゃんハウスなんかはどうでしょう? いや、実物を見たことはないんだけど。
ほかにも「無機質な美しさ」とか「猥雑な美しさ」とか「滅びの美しさ」とか、いくつもの要素を挙げることができるが、あまり分類や分析に適しているとも思えないので、これくらいで。
最後に、ここ1年くらいの間に見た都市景観で美しいかどうかは別として最も印象に残っているものを5つほど挙げておこう。
*1:宗教都市 天理の巨大建築群と、神のニワトリ群! - ココロ社 ♪ほのぼの四次元ブログ♪を参照のこと。
*2:元版は『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』だが最近、書店で見かけないので、絶版かもしれない。二分冊の文庫版『ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 東日本編 (ちくま文庫)』『ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行 西日本編 (ちくま文庫)』なら今でもふつうに買えるが、分冊しても分厚くて下手に取り扱うと本が割れてしまうのが難。
*3:重要伝統的建造物群保存地区の略。重要伝統的建造物群保存地区 - Wikipediaを参照のこと。