秘訣は出版社とのタイアップ 1冊700円+税の町おこし
秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし (小学館101新書 19)
- 作者: 五十嵐幸子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/02/03
- メディア: 新書
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『秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし』というのはかなり長い題名だが、さらに「宇都宮餃子はなぜ日本一になったか」という副題もついていて、まるで二時間サスペンスのようだ。これだけでもうお腹いっぱいになったが、本文を読めばもしかしたら何か得るものがあるかもしれないと思い、いちおう最後まで読んでみた。この種のご当地グルメ系のネタは大好きなもので。でも、結局、よくあるサクセス系ビジネス書とあまり変わらないという印象を受けただけだった。新書だから腹は立たないけれど。
ひとつ不思議だったのは、よそから宇都宮にやって来た客がまず目にするはずの、JR宇都宮駅ビル宇都宮パセオホームページの2階にある「餃子小町」に全く触れていないことだ。いや、厳密にいえば、その一角を占める「来らっせ」については165ページで言及があるが、単にパセオに「来らっせ」があるということを記しているだけで、「餃子小町」という言葉は出てこない。
そこで、宇都宮餃子会ホームページをみると、直営店としては
の2店が紹介されているだけだ。では、パセオの「来らっせ」は直営店ではないのか、と一瞬思ったが、宇都宮餃子会概要をみると、いちおう直営店ではあるようだ。また宇都宮餃子会加盟店一覧*1には「餃子小町」の名も見える。このあたり、どういう権利関係になっているのかがよくわからない。
それはともかく。
この本への不満というか物足りなさを一言でいえば、宇都宮餃子会マンセーの視点で書き貫かれていて、その周辺が全く見えてこないというところだろうか。宇都宮餃子会からの依頼で書かれた記録がベースになっているということはあとがきにも書かれているとおりで、そのような事情を考えれば、「ないものねだり」ということになるのかもしれないが、たとえば、宇都宮と中心市街地活性化というテーマなら必ず出てくるはずのLRT導入問題*2など、どこにも出てこないのは寂しい。まあ、これはデリケートな問題を含んでいるので言及しづらかったのかもしれないけれど。
最後に、当サイトで宇都宮餃子に言及した記事にリンクしておく。今はなき「宇都宮餃子共和国」も取り上げていることに我ながらびっくり。
追記
本文を書いたあとで、宇都宮餃子会と餃子の街 宇都宮の経緯を見ていたら、平成18年のところに訴訟関係の記述があった。
『秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし』173ページには次のように書かれている。
被告となった餃子販売会社は、他県で製造した自社の餃子を「宇都宮餃子」と偽って全国で販売していました。餃子会からの再三の通告にもかかわらず受け入れられなかったため、提訴に及んだのです。
本の中では訴訟の相手側の会社名は伏せられていたが、宇都宮餃子会がたまたま同時期に2社を相手に訴訟を起こしたのでない限り、ここで書かれているのは宇都宮・栃木大信の餃子のことだろう。餃子の栃木大信 お客様の声というページを見ると、本場の宇都宮餃子に感動した人々の喜びが伝わってくるようだ。ぜひ一度、賞味したいものだと思う。