手塚治虫も谷川流も「阪急平野」生まれ

『阪急平野』『阪急文化圏』という言葉への違和感 - 猫轍守衛の偽業務日報によると、「阪急文化圏」という言葉が広く使われるようになったのは『「民都」大阪対「帝都」東京―思想としての関西私鉄』以降のことらしい。この本はまだ読んだことがないが、着想が面白いので一度読んでみたいと思っている。でも、これ、あんまりいい評判を聞かないんだよなぁ。
そういえば、「阪神間モダニズム」という言葉もあったけれど、これと「阪急文化圏」との関係はどうなっているのだろうか? 時間があれば調べてみたいところ。時間があれば……。時間が……。

追記

阪神間モダニズムといえば、ふと連想するのは渡辺温だ。渡辺温は北海道で生まれ、東京、茨城で育ったので、関西とはあまり縁があったわけではないが、谷崎潤一郎宅を訪問した帰りに阪急夙川踏切でその短い一生を終えたのだから、ある意味では阪神間モダニズムの犠牲者とも言える。ほとんど言いがかりだけど。なお、今出ている「文學界」7月号に、渡辺温の死に材をとった小林信彦の「夙川事件 −谷崎潤一郎余聞−」が掲載されている由。

文学界 2009年 07月号 [雑誌]

文学界 2009年 07月号 [雑誌]

渡辺温は27歳で亡くなったが、その兄の渡辺啓助は101歳まで生きた。晩年の渡辺啓助は長寿を祝われると、自分は弟の寿命を貰って生きていると語った……という話をどこかで見聞きしたような記憶があるが、出典がわからないので、これはもしかすると記憶違いかもしれない。
そういえば、何年か前にヴァーチャルネット探偵作家おん28歳というサイトがあった。今でもまだ削除はされていないが、最終更新は2003年5月のことだから今からも6年も前のことだ。ちなみに、その翌月には谷川流の『涼宮ハルヒの憂鬱』が世に出ている。何もかもが懐かしい。角川つばさ文庫版『涼宮ハルヒの憂鬱』も出たことだし、久しぶりに再読してみようかという気になってきた。でも、時間が……。
最後に、渡辺温の小説からお気に入りを2つ紹介しておく。

//www.aozora.gr.jp/cards/000020/files/2316_13544.html" title="渡辺温 兵隊の死">兵隊の死:「たのしい春の日であった」という書き出しの一行から、あのわずかな分量でまさかこんなところへ連れて行かれるとは!
//www.aozora.gr.jp/cards/000020/files/195_26091.html" title="渡辺温 可哀相な姉">可哀相な姉:タイトルのとおり、可哀想な姉の話。これは酷すぎる。

どちらも有名作なので既に読んだことがある人も多いだろうが、幸運にもまだ読んだことがない人はぜひご一読願いたい。なに、時間はかかりません。「兵隊の死」は1分もあれば読めるし、「可哀想な姉」も10分くらいで読めるだろう。

追記の追記

ふと思いついて過去ログを検索してみると、3年ほど前にこんな記事を書いていたことが判明した。
ああ、すっかり忘れていた!
人間としをとると成長しなくなるものだ。
でも、当時は2作しか読んだことがなかった渡辺温の作品を、その後いくつか読み足しているので、それを成長と呼ぶなら成長かもしれない。
阪神間モダニズムと全然関係ない話でごめん。