高速道路無料化にはいったいいくつの問題があるのか?

前者の記事で挙げられている3つの問題点を箇条書きで示す。

  1. 維持管理費が国の予算から安定的に確保できず、安全管理がおろそかになりかねない

  2. 職を失う料金所職員5千人超の再雇用問題が起きる

  3. 効率化やサービス向上など民営化の効果を評価せず議論している

3番目の問題は、そのまま読めば高速道路が無料化された場合に生じる不都合というわけではないので、レベルの違う問題ではないかと思うが、「無料化されればサービスが低下する」ということなら1番目、2番目と同列の問題だと言えるかもしれない。
一方、後者の記事では次の4つの問題点が指摘されている。

  1. 高速道路会社の3社が抱える長期債務返済の財源が不明確になる

  2. 他の交通機関との関係も含め、不公平な問題が起こらないかどうかを吟味する必要がある

  3. 無料化に伴う混雑で二酸化炭素の排出量が増え、環境に悪影響を与える

  4. 料金所の撤廃により、高速道路3社で約2万人が職を失う

料金所職員の人数が違っているが、後者では「高速道路3社で」と書いてあるから、前者の「5千人超」というのは東日本高速道路会社のみの人数なのだろう。よって、同じ問題だと考えていい。
すると、上の2つの記事で挙げられている高速道路無料化に伴う問題は、併せて6つということになる。
わかりやすいように、不確かな予測についても断定した形でまとめてみる。

  1. 安全管理がおろそかになる
  2. 料金所職員が大量失職する
  3. サービスが低下する
  4. 債務の返済が滞る
  5. 他の交通機関との関係が不公正になる
  6. 二酸化炭素の排出量が増える

反論はこんな感じだろうか?

安全管理がおろそかになる
→安全管理に必要な予算を組めばいい。
料金所職員が大量失職する
→無料化による経済活性化効果で雇傭ができる。
サービスが低下する
→過剰なサービスはいりません。
債務の返済が滞る
→返済に必要な予算を組めばいい。
他の交通機関との関係が不公正になる
→多少、不公正であっても努力すればなんとかなるし、なんともならなければ廃業すればいい。
二酸化炭素の排出量が増える
→経済活性化のためには多少の犠牲はやむを得ない。

もうちょっと洗練された反論も可能だろうと思うが、それは読者諸賢にお任せしようと思う。前にも書いたが、今の時期にこの問題を取り上げると党派的イデオロギーと絡めて読む人が出てきて冷静な議論を展開しづらいので、あまり深入りしたくはない。