40声の「モルテット」

サントリーミュージアムで現在開催中の「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」の紹介ページ魚拓)に誤記を発見したので晒しておく。
そのページで「40声のモルテット」と表記されている作品は、正しくは「40声のモテット」で、別のページ魚拓)の解説記事では正しく表記されている。ただ、この記事の中にも首を傾げる記述がある。

【略】この展望ギャラリーに40本のスピーカーが整然とならび、そこから荘厳なバロックの宗教曲を歌う歌声が鳴り響く。カナダ出身のアーティスト、ジャネット・カーディフによる《40声のモテット》という作品で、イギリスのソールズベリー大聖堂の聖歌隊40人が歌う同名の合唱曲を、高精度のデジタル技術を駆使して録音し、その歌声を1人1本のスピーカーを割り当てて再生しているものである。【略】

この作品で使われている合唱曲《40声のモテット》は、16世紀のイギリスを代表する作曲家、トマス・タリスによるもので、ジャネット・カーディフは、その曲自体が内包する「彫刻的」な構造に着目し、この作品の着想を得ている。【略】

トマス・タリスはルネサンス期の作曲家であり、彼の音楽は通常バロック音楽に分類されることはない。40声部という法外な多声部の音楽はバロック的といえるかもしれないが……。

追記

もしかすると、ジャネット・カーディフの作品名としては「40声のモルテット」で正しいのかもしれない、という懸念が生じたので調べてみたが、昨年、別のところで展示(?)されたときの記事を見ると、「40声のモテット」と書いてあったので、やはり単純な誤記だったのだろう。