野猪襲来抄

つい最近知ったのだが、今、韓国はえらいことになっているらしい。

21日午前0時47分ごろ、ソウル市鍾路区の三清公園に、体重100キロほどのイノシシが出没し、消防隊員が麻酔銃を撃って、約2時間30分後に捕獲した。

鍾路消防署はこの日、「イノシシが三清公園の正面入り口付近の鉄柵の内側をうろついている」というタクシー運転手からの通報を受け出動、鉄柵の下のすき間にロープを張るなどして逃げ道を塞ぎ、捕獲作戦を繰り広げた。そして、3時17分ごろに麻酔銃を6−7発撃ち、倒れたイノシシを鉄柵の外側へ引きずり出した。

「軍の部隊を動員してでも、イノシシを捕まえなければならないのではないか」

少し前、環境部が各市・道の公務員らと行った「イノシシ管理対策会議」で、いわゆる「空挺部隊イノシシ掃討論」が再び登場した。イノシシの個体数が増える一方で、都心に出没するなどの被害が相次いだことを受け、最後の一手として出たのが、「イノシシ狩りに軍隊を動員しなければならない」というアイデアだった。

一方、日本でこんな空爆まがいの行為が行われているようだ。

NPO法人日本熊森協会では、餌不足に苦しむクマを守ろうと日本全国で餌のドングリを山にまいています。24日は協会が所有する山林に約1トンのドングリがまかれました。

【略】

協会は、ヘリコプターを使うのは初めてだということです。餌不足のためにドングリをまくのは、2004年と2006年に続いて3回目です。

日本熊森協会NPO法人だという話は初めて見聞きした。もしかしたらNPO法人奥山保全トラストとごっちゃになっているのかもしれない。でもまあ、どっちでもいいや。
閑話休題。クマの話はおいといて、イノシシに話を戻す。
朝鮮日報のイノシシ関連記事をいくつか紹介しておこう。なお、過去記事は会員登録しないと読めないので、内容を知りたい人は適宜手続きをしてもらいたい。

もしかすると、のんきな人は「韓国は大変だなぁ。日本に住んでてよかったなぁ」などと思っているかもしれない。しかし、この問題は「対岸の火事」などではない。

24日午前7時10分ごろ、別府市上田の湯町のホテル駐車場で、イノシシが、通報を受け捜していた別府署の男性巡査(25)の右太ももにかみついた。巡査は2週間のけが。イノシシは体長約1メートルで、その後、近くの川に入って逃げたという。

シカやイノシシなどの大型野生動物と乗用車との衝突事故が、県内の道路で急増していることが、広島国道事務所のまとめで分かった。同事務所では事故防止のため、大型動物飛び出しの警戒標識の増設を検討している。

19日午後9時45分ごろ、香川県三豊市内の県道を走行していた乗用車が、車道上にいたイノシシ6頭を次々にはねる事故が起きた。クルマは大破したが、運転していた29歳の男性にケガはなかった。イノシシは全頭が死んでいる。

市東部農林事務所によると、18日午後8時ごろ、同市表町1の市立中央小学校付近で、市役所から帰宅途中の市職員が発見。市教委は同日夜、市内の全小中学校などの連絡網を通じてイノシシの出没を伝え、注意を呼び掛けた。

19日午後1時40分ごろには、市役所近くの寺付近にイノシシがいると近所の住民から市に連絡があった。職員が寺に向かい、墓地でイノシシを発見したが逃げられた。体長はいずれも約1メートル。20日以降は目撃情報を確認していないという。

21日午前2時20分ごろ、三豊市財田町財田上、新聞配達員の男性(69)方から「大きな物音がして玄関が壊れてタンスが倒れている。気味が悪いので様子を見に来てほしい」と110番通報があった。

三豊署員が駆け付けたところ、南側にある玄関のガラス戸が割れて居間のタンスが倒れており、さらに北側の窓ガラスが割れていた。調べたところ、居間の床やタンスの上、外の畑にイノシシの足跡が見つかった。同署はイノシシが玄関を壊して屋内に侵入、窓を割って外へ抜けたとみている。男性と家族計6人は全員家にいたが、別の部屋にいてけがはなかった。

佐賀市久保田町で20日朝、手負いのイノシシが住宅に侵入し、女性(45)を襲って軽傷を負わせた。19日にも白石町で男性(71)が別のイノシシに指をかまれてけがをしており、市の担当者や動物の専門家らは「猛暑で餌不足となった影響で、イノシシが平野部に現れる頻度が増えているのでは」と推測している。

19日午前7時ごろ、杵島郡白石町福富の六角川河口付近の桟橋で、同町内の農業男性(71)が、イノシシ1頭に襲われ、左手人さし指をかみつかれるなどし、けがを負った。

イノシシやシカによる農林業被害が相次いでいる問題で、兵庫県は通常ならば2月15日までだったイノシシとニホンジカの狩猟期間を1カ月延長すると発表した。イノシシの狩猟期間延長は今回が初めて。

県自然環境課によると、動物による農作物の被害額は約8億9千万円にのぼり、約7割がシカやイノシシによるものだという。

希少なトンボが生息する小松市滝ケ原町のトンボ公園で、イノシシが池の堤を崩し、水が抜けて干上がる被害が今年初めて確認された。水がなくなればトンボの幼虫が生息できないため、同公園を整備する鞍掛山を愛する会が修復に取り組んでいるものの、直しては壊される「いたちごっこ」の状態が続いており、会員は頭を抱えている。

瀬戸内海国立公園に指定されている五色台でイノシシの出没が例年以上に相次ぎ、五色台ビジターセンター(香川県坂出市王越町)は散策道の一部閉鎖に踏み切った。閉鎖の措置は初めて。五色台は紅葉の名所でもあり、シーズン本番前に水を差された格好だが、周辺施設の関係者は「安全確保のためには仕方ない」としている。

16日午後4時10分ごろ、箕面市白島2丁目を通りがかった女性から「イノシシが新御堂筋沿いを北へ走っているのを見た」と110番通報があった。市や箕面署によると、その後、同市如意谷3丁目や同市西宿1丁目でもイノシシが目撃され、箕面署員や市職員、猟友会が捜索。同5時10分ごろ、最初の目撃情報から約1キロ西に離れた同市箕面2丁目の住民から「山の方に逃げた」との目撃情報が寄せられたため、捜索を打ち切った。けが人はなかった。

飯塚市の住宅街にイノシシの群れが毎晩現れ、ごみをあさっている。人間が捨てた菓子やジュースなどのごみを餌と認識しているとみられる。筑豊地区ではイノシシの捕獲数が急増。大阪府では13日にイノシシが暴れて小学生ら5人がけがをした。専門家は「子イノシシのそばには親がいることが多い。興奮して人間に危害を加える恐れもある」と注意を呼び掛けている。

もうこれくらいでいいだろうか。
日本でもイノシシ問題は深刻さの度合いを増しつつある。
もっとも、そう言われてもピンとこない人も多いだろう。特に東京近辺の人は、自分とは関わりのない遠い世界の出来事だという意識からなかなか抜け出せないかもしれない。
それはまあ仕方のないことだし、今この段階で危機感を無理に煽る必要もないだろう。ただ、できることならイノシシ問題のことを記憶の片隅にでもとどめてほしい、とも思うのだ。