このタイトルは誰のせい?

完全な人間を目指さなくてもよい理由?遺伝子操作とエンハンスメントの倫理?

完全な人間を目指さなくてもよい理由?遺伝子操作とエンハンスメントの倫理?

ひどい訳題だ。本文のどこを読んでも完全な人間を目指さなくてもよい理由など書かれていない。この本は徹頭徹尾「完全な人間」*1目指してはならない理由について語っているのだから。
以前読んだ『サンデルの政治哲学?<正義>とは何か (平凡社新書)*2で、『完全な人間を目指さなくてもよい理由』のタイトルのまずさに言及している箇所があったので興味を惹かれて呼んでみたのだが、やっぱりこれは駄目だよなぁ、と思った。
ただ、内容は非常に面白かった。訳がどの程度原文に忠実なのかはわからないが、少なくとも日本語として意味の通らない文章や、誤訳の疑いを抱かせるようなぎこちない言い回しなどはなかったように思う。訳者がトンチキなせいで原著者の主張を読み取り損ねてヘンな訳題をつけてしまったのかと思っていたのだが、どうやらそうではなさそうだ。

*1:と表現すること自体どうかと思うが。

*2:その時の感想文はこちら。たいしたことは書いていません。