2005-05-07から1日間の記事一覧

残りの8人

創作童話「博士(はくし)がひゃくにんいるむら」

一本足の蛸

その朝、むせるほどの磯のにおいで彼女が目を覚ますと、彼女は一本足の蛸だった。頭とも胴ともつかない重くてぐにゃりとした本体から、無数の吸盤に覆われた気味の悪い野太い足がたった一本だけ生えていて、足は彼女の意志とは無関係にうねうねと波打つよう…

一本足の蛸

その朝、彼女が夢からさめると、むせるほどの磯のにおいがたちこめていた。そこに巨大な蛸がいたのだ。さらに驚いたことにその蛸は彼女自身だった。彼女はそれに気がつき声にならない悲鳴をあげた。 彼女、すなわち蛸には足が一本しかなかった。頭とも胴とも…