魔術師を探せ!


魔術師と密室トリックとくれば、誰だってまず連想するのが、ランドル・ギャレット。SFミステリ「魔術師が多すぎる」は、魔法世界での殺人事件といった特異な作品でしたが、この手のファンタジーとミステリの要素を織り交ぜた世界観をものするのはなかなか困難で、思ったよりも作品数は少ないのが現状です。いわば、ロジックとマジックは反発するのだ。
この世には二種類の人間がいる。『トリックスターズ』を読んでランドル・ギャレットを連想する人と、しない人だ。
誰だってというのは言い過ぎにしても、相当数の人が『魔術師が多すぎる』を連想するものだと思っていたのだけど、好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!『トリックスターズ』感想メモリンクから辿ってみたところ、なんと誰も『魔術師が多すぎる』に言及していない*1ことがわかり、びっくりした。
もちろん、言及していないからといって連想しなかったということにはならない。*2連想したものの、「まあ、誰だって同じ事考えてるはずだから、ことさら言及するまでもないよな〜」と思った人間が若干1名、確かに存在するのだから。でも、はてなのリンクから辿っても『魔術師が多すぎる』に言及している人がいないし、Googleで検索してもBAD_TRIPしかひっかからない*3というのは意外だった。
『魔術師が多すぎる』は現在入手が困難だ。まあジャンルがジャンルだから、いつでも出版流通に乗り続けていることを期待するのは高望みかもしれない。しかし、ミステリに関心のある読者に対して、このような記念碑的な作品があることを常に情報提供し続けるのが、ミステリ界*4の責務ではないだろうか。
このままだと伝言ゲームが終わっちゃうよ。

*1:見落としがあったらごめん。

*2:逆に、言及しているなら、連想しているに違いない。自動書記で感想文を書いているのでない限り。

*3:この文章を書いている時点での話。

*4:そもそも「ミステリ界」という言葉で名指されるような特定の実体があるのかどうかは疑わしい。本当は具体的な団体名をいくつか挙げたいところだが、自主規制した結果このような表現になった。