才気あふれるままに

大型版 あらしのよるにシリーズ(1) あらしのよるに

大型版 あらしのよるにシリーズ(1) あらしのよるに

あるはれたひに 大型版あらしのよるにシリーズ

あるはれたひに 大型版あらしのよるにシリーズ

大型版 あらしのよるにシリーズ(4) きりのなかで

大型版 あらしのよるにシリーズ(4) きりのなかで

あ〜、こんなこと書いてるといつか刺されるぞ、と思った。まあ、海燕氏とTKO氏の生活圏は遠く離れているので、あらしのよるにばったり出くわすという偶然はないだろうが。
ところで、このシリーズ、名作だという噂は以前から聞いていたが、これまで未読だった。というのは、『きむら式 童話のつくり方 (講談社現代新書)』を読んだとき、なんとなく「あ、この人の童話はたぶん肌に合わないだろうな」と思ったからだ。だが、せっかくだからこの機会に読んでみようと思い、仕事帰りにふだんあまり行かない書店に行き、ふだんあまり見ることのないコーナーを見ると、運良く全巻揃っていた。
それだけならよかったのだが……。
まあ、それは後の話として、通読した感想を簡単に書いておこう。
ヤギのメイとオオカミのカブのコンビに触れて、ここにあるメタファーを読み取らない大人はまずいないだろう。『指輪物語』を読んで「指輪とし原子爆弾のことだ!」などと賢しらに言うのと同じで、本当はあまり好ましい読み方ではないのだとは思うが、これでもかこれでもかとばかりに読者をその読みに誘うエピソードが詰め込まれていて、あらがうのはほぼ不可能に近い。この力量は凄いな、と素直に感心した。
ただ、どうも作者の掌の上で踊らされているような不快感をぬぐい去ることができず、感心はしたものの感動はできなかった。
もちろん、これは相性の問題であり、客観的にみれば、物語の組み立て方にしても人物(動物)の台詞回しにしても、文句のつけどころのない傑作であることは言うまでもない。
ただ、『しろいやみのはてで (あらしのよるにシリーズ)』にはがっりした。商売としてはうまいやり方だ。だけど、こんな商売は大嫌いだ。