日本にはイオンがあり、アメリカにはウォルマートがある

大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本 (岩波新書 新赤版 (960))

大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本 (岩波新書 新赤版 (960))

ジャスコの近くでは兇悪犯罪がよく発生する、と指摘したのは『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)』だったが、これはそのアメリカ版ともいえるもの。三浦展に比べるとややおとなしい書き方だが、大型店が地域社会をさんざん破壊したのち、収益率が下がるとさっさと店をたたんで、別のところに出店するというやり口を「焼畑商業」と呼ぶセンスはなかなかのもので、「ファスト風土」に匹敵するものといえる。*1
副題からもわかるとおり「アメリカでは今、大型小売店の規制が進んでいるが、それにひきかえ日本は……」というのが基本的な論調になっている。日本におけるまちづくり政策の例もいくつか紹介されてはいるが、あまりぱっとしない。日本の都市崩壊と農村荒廃は、まだまだ進むことだろう。
廃墟マニアにとってはいい時代だ。

*1:ただし、「焼畑商業」が著者の造語かどうかは不明。