夏の次は秋

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

今日は城山三郎を読むつもりだったが、手許には一冊も本がなく、わざわざ買う気にもならなかったので、予定はあっさり崩れ去った。
その代わりに読んだのがこれだ。まいじゃー推進委員会!猛烈にプッシュしていて、まるで、去年の『推定少女』のようだと思い、気になっていたところ、うたたねこやで、奥歯にものが挟まった状態で、靴越しに足を掻いているかのような書評を読み、これは試しに読んでみようと思っていたところ、BAD_TRIPで、「日本は終了しました」と書かれていて*1、そろそろ誰かが決定的なネタばらしをしそうだから、その前に急いで読むことにして、その後、この小説に言及した文章はなるべく読まないようにしていると、うたたねこやさらに追い打ちがあったのだが、なんとかそれをかわして、今日一気に読んだ次第。
ここに一冊の城山三郎があれば、私たちの人生に「退屈」の二文字はないもしかすると一生後悔することになったかもしれない。危ないところだった。
さて、この小説を読むに至った経緯ばかり書いて、まだ全然感想を書いていない。なぜ書いていないかというと、それはもう書きにくいからに決まっている。先人諸氏の苦労が偲ばれる。
具体的な内容に触れるのは論外だが、どういう傾向の作品なのか、とか、どんな雰囲気なのか、とか、その程度のことをほのめかすだけで、未読の人の興を殺いでしまうおそれがある。
この作者は新人のようだ*2が、ある既成作家と作風が似ていることは誰だって*3気がつくだろうし、TKO氏ははっきりと明示している。それでネタをばらすことにはならないとは思うが、でもやっぱり事前情報が少ないに越したことはないと思うので、うたたねこ氏に倣って、その作家の名前は伏せておこう。と、そんなことを考えてしまうくらい、気を遣わされる作品なのだ。ああ、もう。
仕方がないので、この小説を読んでいる最中に連想した別の作家の別の小説を挙げておくことにしよう。それはこれだ。

*1:9/12付。どうせすぐにリンク切れになるのがわかっているので、直リンクはしない。

*2:あとがきによれば別名義で雑誌に短篇が掲載されたことがあるというが、それ以外に特に目立った執筆歴があるとは書かれていない。もっとも、書かれていないだけかもしれない。奥付の上の著者紹介文を見ても性別すら不明だから、全く謎の人物としかいいようがない。

*3:ただし、その作家の本を読んでいる人に限る。