まあ、これくらいなら書いてもいいでしょう

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

白い花の舞い散る時間 (コバルト文庫)

昨日の感想文(?)があんまりだったので、少し書き足しておく。
この小説の最初のほうで、書き分けにくい登場人物をうまく采配して、読者を混乱させない確かな文章力に感心した。登場人物たちが変名を用いていて、しかもチャット用とオフ会用に別の名前を使っているというややこしい設定だから、登場人物のおひろめに失敗したら、その後の展開は読むに耐えないものになっていただろう。
名前の選び方、それぞれの人物の登場のタイミング、それぞれの人物に仮の名前が与えられる前後の文章、どれをとっても細心の注意をもって丁寧に書かれていることがわかる。荒削りの魅力もいいけれど、やはり文章がうまい小説のほうがいい。
ところで、登場人物の名前といえば、ゴスロリ少女に与えられた名前が「亜梨栖」だというのは意味深長だ。
黒い亜梨栖。
さて、これはトム・デミジョンの『黒いアリス』と関係があるのだろうか?