限定版の魔力

昨日、ジュンク堂大阪本店で『国枝史郎 探偵小説全集』を買った。税込価格6090円で決して安くはない。というか、高い。ラノベなら10冊は買える。
国枝史郎は好きな作家の一人だが、とことん好きというわけでもなく、むちゃくちゃ好きというわけでもない。しゅびどぅば好きでもなければ、ずんどこ好きでもない。『蔦葛木曾棧』はこれまでの人生で出会った最高の伝奇小説・活劇小説だと考えている*1が、それに比べると『神州纐纈城』は少し劣るような気がするし、『八ヶ嶽の魔神』は途中で読むのをやめてしまった。その程度のぬるいファンだから、本来ならこんなに値段の高い本は買わないのだが、たまたま昨日は給料日直後で多少予算に余裕があったことと、同行した後輩に「えっ、買わないんですか?」とさも珍獣を見たときのような驚きの声を上げられたこと、そして、オビに【限定一、〇〇〇部】と書かれていたことなどの理由により、なんとなくついふらふらと買ってしまった。
その時、ミステリコーナーの棚にはこの本が5冊並んでいた。本をレジに持って行く途中に新刊書の棚をみると、そこにも5冊あった。5冊と5冊を合わせると、でっかい5冊になる……わけもなく、その時そこには10冊の『国枝史郎 探偵小説全集』があったことになる。ジュンク堂大阪本店は一時期売り場面積日本一の書店だったことがある店だから、部数の少ない本が何冊も入荷していてもおかしくはないのだが、しかしそれにしても1000冊のうちの10冊が一店舗にあるというのは偏りすぎではないか、と思った。
その後、梅田某所で怪しい集会に参加すると、やはり【限定一、〇〇〇部】につられて買った人に出会った。その人がいうには、ジュンク堂難波店にはこの本が20冊あったそうだ。
参考:作品社の『国枝史郎探偵小説全集』紹介ページ

*1:ただし、その時の気分次第では世界一の座を他の小説に明け渡すこともある。