山手線

こんな夢を見た。
都心の過疎化で山手線の赤字が増し、とうとう廃止が取り沙汰されるようになった。「乗って残そう山手線」というスローガンで地域住民が活動したおかげで、都が出資する第三セクターに路線が譲渡され、「大江戸環状線」と改称のうえ存続が決定したが、従来のように電車を頻発することができない。そこで、都と新会社は新技術「時間幅拡幅運行」を導入することに決めた。
この技術は、通常どおり走行している電車がある特定の時点tを含む前後それぞれ30分に電車が同じ地点pに存在するというもので、見方をかえれば、tにおいてpを走行する電車が、同時にpを含み30分以内に到達可能な路線上のすべての地点に遍在するというものだ。
新生「大江戸環状線」は1時間間隔で運転される。ふつうの運行方法だと1本乗り遅れたら1時間待たないといけないが、「時間幅拡幅運行」ではそんな必要はない。運転時間に1時間の幅を持たせているために、駅には常に電車がとまっていて、乗客は自由に乗り降りできる。ただし、タイムパラドックスを避けるため、乗車駅から降車駅までの所要時間は従来通りとされた。
かくして過疎ダイヤであるにもかからわず、利便性が確保されることになって、乗客は喜んだ。ところが、「大江戸環状線」運転開始初日に予期せぬ事故が発生してしまった。始発電車が走行開始30分後に、自分自身に追突したのだ。*1
……我に返ってから、これは小説のネタになりうることに気づいたが、面倒なのでやめた。本当に書こうと思えば、山手線の情報を収集しないといけないし。

*1:これは、山手線が1時間で1周するということを前提にしている。手許の時刻表で始発電車を調べてみると1時間1分かかっているので、実際にはこのような悲惨な事故は起こらないはずだ。