石野休日参拾番勝負

2ヶ月あまり続いた石野休日氏のショートショート*1習作30本連載が先日完結した。作品一覧はこちら
この機会に全作レビューを試みたが、面倒なので試みただけでやめにした。我ながら賢明な判断だ。そこで、最終話『初恋は血の味がした』についてのみ、簡単に感想を書いておくことにしよう。
この作品が公開される数日前にタイトルだけ予告されたとき、「ああ、吸血鬼ネタか」と思った。これまでの作品にわりとそっち方面*2のネタが多かったので。で、実際に読んでみると、確かにそっち方面はそっち方面なのだが、吸血鬼ではなかった。ちょっと意外だった。でも「ミイラ男だと思ったら透明人間だった」というほどの意外性はない。
むしろ驚いたのは、登場人物の設定や会話、地の文の一人称の語りなどが、そのまんまのアレだったことだ。そこまで似せておいて、あのオチなのだから、まさに神をも恐れぬ所業というべきだろう。こんな小説を書いていては、いつか極真空手の必殺技で倒されてしまうに違いない。危険だ。関わり合いにならないほうがいい。

*1:分量的にも内容的にはショートショートとは呼べない作品もかなり含まれているので、「ごく短い短篇」という程度の言い方のほうがいいような気もするが。

*2:具体的にどのような傾向なのかはぜひ実作で確かめてほしい。