不思議な話

これは不思議だ。
不思議な話は世の中にはいくらでもあるが、この話がとりわけ不思議なのは、どこがどう不思議なのかがわからない/うまく説明できないのに不思議だということだ。
自然数が無限にあるということと、どんな自然数も有限の桁数で表せるということの間には何の矛盾も逆説もない。だから、本当は不思議でもなんでもないはずなのだ。でも、やっぱり不思議だ。
これはいったいどういうことだろう?
………(考え中)………
つまり、こういうことではないか。限られた種類の記号を限られた回数だけ用いて言い表せる事柄は限られているはずだ。それなのに、無限に多くの事柄のどれについても、その限られた表現手段で言い表すことができるというのだから、これが不思議でないほうがおかしい。
そう考えると、この話は不思議なことは不思議だけれど、とびきり不思議だということはない。たとえば「すべての人は母親から生まれた。しかるにすべての人を生んだ母親はいない」という主張を見聞きしたときに一瞬感じる不思議さに似ているかもしれない。