心はいつも15歳

ときめきイチゴ時代 (X文庫スペシャル)

ときめきイチゴ時代 (X文庫スペシャル)

花井愛子の本を読むのは、これが初めてだ。
ティーンズハートで3つのペンネームを使い分けてバリバリ書いている作家がいるという話は「噂の真相」で知った。この雑誌のことだから、ネガティヴな記事だったのだろうと思うが、詳しいことは覚えていない。
で。
ちょっと興味をもって本屋で花井愛子の本をてにとってぱらぱらとめくってみたことはあったのだが、あの独特の文体にまったくついていけず、結局一冊も読むことはなかった。やっぱり、助詞一つで改行しちゃいかんでしょう。
が。
今になってみれば、特に抵抗なくすらすら読める。まあ、『ときめきイチゴ時代』は小説ではないから、文体が多少違っているということもあるのだろう。だが、それよりも「時代の変化」という理由のほうが大きいだろう。かつて先鋭的だった花井文体は、今ではさほど異色のものではない。時代が花井愛子に追いついたのだ。
と。
文体のことばかり書いたが、内容も面白かった。初期のティーンズハートには二つの編集部があったことは意外だったし、出版社や部門によって慣習やものの見方が違っているという話も興味深かった。
著者自身も書いているが、久美沙織の『コバルト風雲録』と読み比べてみるのも一興かと。