和算だいすきメイドさん

ぼくのご主人様!?(2) (富士見ミステリー文庫)

ぼくのご主人様!?(2) (富士見ミステリー文庫)

ぼくのご主人様!? (富士見ミステリー文庫)』に続くシリーズ第2作*1。前作はネット上の書評や感想文を読んだ限りではあまり評価は高くなかったようだが、1作で見切るのは早計に過ぎる。2作目から本調子になったシリーズなどいくらでもあるのだから、まあ騙されたと思って読んでみてくださいな。
今回の読みどころは何といっても和算だ。以前、和算を扱った『算学奇人伝 (祥伝社文庫)』という小説を読んだら非常に面白かった。でも、ライトノベル和算を扱ったものを読んだ記憶はない。もしかしたら、これが初めてかもしれない。そうでないにしても、メイドと和算という組み合わせは斬新だ。書く方も書く方なら、出す方も出す方だ。さすが、富士見ミステリアス文庫*2
和算のことばかり強調しすぎるとかえって逆効果になるかもしれないので、もう一つの読みどころについても触れておこう。それは、可哀想な純情男と天然悪女の対比の妙だ。終盤付近なので具体的なことは書けないのが残念だが、あの2人の関係にどう決着をつけるのかと思いながら読んでいると202ページでまさかのあれ*3で「ええっ!」と驚いた後、228〜229ページのドタバタとも愁嘆場ともつかない衝撃の結末へと至るあたりが面白かった。この微妙な捻れっぷりは賞讃に値する。
続篇が楽しみなシリーズが、またひとつ。

*1:前作の感想

*2:誤記ではない。念のため。

*3:しかもイラストつき。