魂が知らず知らずのうちに数を数える


音の種類を24(二オクターブ)+休符、最大分解能を16分音休符までにして、とりあえず全てが16分音休符だと仮定してみます(つまり、実際より少なくなります)。
25の16乗は23283064365386962890625です。1秒に100万種類登録できると仮定しても約7億5千万年掛かります。
これは単音の場合の計算だが、実際には同時に複数の音が鳴ることもある。それを考慮に入れると、2の24乗をさらに16乗した数、つまり2の384乗となる。ちょっと雑かもしれないが、2の10乗(1024)と10の3乗(1000)をほぼ等しいものとみなすことにすれば、2の384乗は10の114乗に16をかけた数にほぼ等しくなる。
すなわち
16000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
ということだ。
これでもまだピンとこない。そりゃそうだ。そこで、別の単位に置き換えてみよう。上で引用した文章では1秒間で100万種類という仮定で計算しているが、これは音楽の話なのだから演奏時間に置き換えることにしよう。同じ1小節でもテンポによって所要時間は異なるが、計算の都合上四分音符を1拍として1分間に160拍、つまり40小節演奏できるものとする。すると1年間で21024000小節演奏できることになる。これも数字を丸めて20000000にしよう。
すると、すべてのパターンを重複なしに1度ずつ演奏するのに要する時間は、年数にしておよそ
800000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
となる。10の107乗に8をかけた年数だ。なんじゃこりゃ。
まだまだ理解を超えた数だ。そこで、次に同時に複数の演奏者が並行して演奏するという仮定を入れる。何人で演奏することにすれば適当なものになるのかはわからないので、これも計算の便宜を優先して8千万人ということにしておこう。現在の日本の人口のおよそ3分の2だ。3分の2であることに意味はないが。
で、8千万人同時演奏の場合の所要年数は、
10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
で、これは10の100乗だ。
これでもまだわけがわからない。せめて京の単位くらいまでにおさめることはできないものか。そう、たとえば、8千万人の演奏者がそれぞれ分身の術を使って5体に分かれ、それぞれの体の右手と左手で同時に別の旋律(?)を演奏すると仮定しよう。それと同じことを地球以外の他の惑星でも行っているものとする。太陽系の惑星の数は9ということになっているので、もう一つ謎の惑星を加えて10にしよう。それぞれの星で8千万人が分身の術を使っているわけだ。凄いぞ、凄いぞ。かててくわえて、我々の住む太陽系と同じような星系がこの宇宙にはあと99あることにしよう。なんでも謎は99あるものだ。太陽系とあわせれば100になってキリがいい。だが、これでも足りない。そうだ並行宇宙だ。シュレディンガーの猫の導きにより、宇宙は分裂に分裂を繰り返して、今やごまんとあるのだ。ごまんとあるということは5万あるということだ。そして、反宇宙も当然のことながら同じ数だけある。5万と5万で10万だ。このような宇宙と反宇宙の組は現実世界にあるばかりでなく、他の可能世界にもあるのだ。これもごまんとある。そして、可能世界があるのなら不可能世界があってもいいだろう。こっちもごまんとある。5万と5万で10万だ。以上とりまとめると、論理空間の中には可能世界と不可能世界があわせて10万あり、それぞれの世界には宇宙と反宇宙があわせて10万あり、それぞれの宇宙と反宇宙には星系が100あり、それぞれの星系には惑星が10あり、それぞれの惑星には演奏者が8千万人いて、それぞれの演奏者は5体に分身し、それぞれの体は両手で別々に楽器を操り、そしてありうるすべての音楽を奏でるのだ。おお、自分でも何を書いているのかわからなくなってきた。助けて、ライプニッツ先生!